商船三井の前身が借りた船は確かに戦中、日本軍に徴用されて撃沈されたらしいが、つまるところその動きも「中国側船会社-商船三井の前身-日本軍」という
流れをたどっており、1936年に船を貸したまま契約上の賃貸料も受け取っていないし、契約自体を反故にされてしまった、つまり戦前に契約を踏み倒された
ままの中国側船会社にとっては、戦時中の軍の徴用は違約後のことであり、訴えの対象ではないという判断だ。
繰り返すが、日中共同声明には「戦争賠償の放棄」は謳っているが、今回は民間企業間の戦前における契約踏み倒しがそのまま戦時へと突入したことが問われている。これは相当に微妙な判断を要する事件ではないだろうか。
最初にこの差し押さえニュースを知った時、わたしはかなり驚いたが、さらに驚いたのは日本メディア報道の低調さだった。偶然ニュースが流れた直後数日間
日本に滞在していたために日本の報道にもいつもよりも触れていたが、その報道姿勢は数年前のレアアース船拘留に比べると格段におとなしい。そしてどこも日
中共同声明の解釈について触れていたものの、戦前の契約違反からそのまま戦時に突入したという微妙な事態についてはあまり真剣に論じる様子もない。
もちろん、戦前の契約とその流れについてはわたしもさっとネットで調べて論じているだけなので間違っているのかもしれない。が、メディアでは実際にその
辺の流れを知るはずの歴史関係者に話を聞いたり、業界資料を紐解くような深入りしようという姿勢もない。日本メディアの論調は基本的に、日中共同声明をタ
テに「賠償請求は放棄したはず」という論ばかりで、一番たくさん目や耳にしたのは「なぜ今になって」「70年以上も前のことじゃないか...」という疑問
だった。
なんだか全体的に歯切れが悪いなぁ......と思っていたら、23日になって商船三井側が約40億円相当の供託金を上海の裁判所に支払い、「バオス
チール・エモーション」の拘留が解除されたという。商船三井としては、中国の国有鉄鋼企業、宝山鋼鉄に鉄鉱石を運んでいる同船の拘留が続けば、業務に支障
をきたし、結果的に宝山鋼鉄側からも訴えられかねないという点を考慮したのだろう。
だが、振り返ってみると、29億円の賠償支払い命令を無視し続けていた商船三井が、中国とのビジネス、それも国有トップ企業の宝山鋼鉄とのビジネスを何
もなかったように今日まで続けてこられたというのも、非常に不思議な話だ。これを日本に置き換えて考えてみよう。内容はともあれ、日本の裁判所から命じら
れた巨額の賠償命令を無視し続ける海外企業が堂々と日本で商売を続けることに違和感はないだろうか? それも日本政府につながる企業がそんな海外企業と商
売を続けていたとしたら?タオバオ仕入れ
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